職人の会社がAIで変わった。創業40年の造園会社が実践する「現場×AI」の業務改善

造園・外構の仕事は、今も昔も「現場」が中心です。木を見て、土を触って、職人が手で仕上げる。その一方で、見積・日程調整・お客様への連絡・ホームページの更新といった「現場以外の仕事」が、職人や担当者の時間を奪ってきました。創業1984年のタケゾーファームが、kintoneやAI(Claude、Googleのツールなど)を取り入れて何が変わったのかをご紹介します。

きっかけ:現場以外の仕事が多すぎた

私たちの仕事は「造園」ですが、いまでは木を植える・石を据えるだけではありません。駐車場のコンクリート工事やブロック塀などのコンクリート製品、カーポートやフェンスなどのアルミ製品、ウッドデッキのような大工仕事まで、さまざまな業種の工事をトータルで手がけています。そのうえで、お客様の多彩なライフスタイルに応えられるよう、デザインも磨き続けなければなりません。

さらに、法令を守ったコンプライアンスへの対応も欠かせません。工事が終わったら終わりではなく、植えた木のその後の生育や、完成した外構のその後の使い方まで、メンテナンスを通じて長くお付き合いしていきます。

こうした仕事を進めるには、事前のご相談やご要望に対して的確な提案をつくること、そして現場の職人とプランナー・デザイナーとのあいだで食い違いをなくすことが必要になります。現場でいいものをつくるだけでは、仕事が成り立たなくなっているのです。

お客様のニーズが多彩になるほど、現場以外の業務はどんどん増え、複雑に入り組んでいきます。このままでは、本来いちばん大切な「現場でいいものをつくる」こと以外に、多くの時間を取られてしまう。この流れは今後も変わらないでしょう。だからこそ、いまの技術を使って業務そのものを改善できないか。そう考えたのが、AI活用のきっかけでした。

変わったこと1:見積

見積システム自体は、以前から社内にありました。ただ、それは「見積書をつくる」ところで終わっていました。

いまは、見積の内容から工程表をつくったり、お客様向けのわかりやすい説明書や、見積の中身をていねいに説明する資料をつくったりするところまでを、ひとつの流れにしています。しかもその形を統一したことで、誰が担当しても同じ品質のものができる仕組みになりました。

さらに、見積は「スタッフがつくるもの」だけではなくなりつつあります。お客様ご自身がある程度の条件を入れて、概算見積を出せる仕組みへと発展させています。

見積は、お客様が工事を決めるときの大切な判断材料です。時間をかけて打ち合わせを重ねることも大事ですが、それがなくても、知りたいときに知りたい情報をお渡しできる。たとえば夜中に「これはいくらくらいかかるんだろう」と思ったとき、その場で金額がわかる。これは、お客様にとっても私たちにとっても有益なことです。

外構や庭の工事は、一生のうちに何度も買うものではありません。知識がないのは当然ですし、皆さん忙しい毎日を送っています。だからこそ「早く、タイムリーに知りたい」というニーズはとても大切です。見積を手に入れるために時間がかかったり、ハードルがあったりする必要はないと、私は考えています。

見積は、単に作成時間が短くなっただけではありません。「お客様が自分で見積をつくれてもいい」。見積の扱い方や考え方そのものが変わったのです。

変わったこと2:車両・重機の配車と予定管理

これは、社内のマネジメントにかかわる部分です。当社では、自社で車両や重機を保有しています。法律で定められた定期点検はもちろん、安全のための点検やメンテナンスも、自社で管理しています。

こうした車両や重機は、いろいろな職人が使います。そこで、いまどの車両・重機がどんな状況にあるのかがすぐにわかる仕組みを取り入れました。車であれば、オイル交換などのメンテナンスの状況や車検の時期まで、ひと目で確認できます。

以前は、そのたびに資料を探したり、点検や手続きを忘れてしまったりすることがありました。誰がいつ使うのかという計画が立てにくく、予定が重なって工事に遅れが出てしまうこともありました。いまはそうしたことが起きないように、車両・重機を管理できるようになりました。

変わったこと3:情報発信

当社では、ホームページのほかにも、看板などの広告、お客様にお送りするお便り(紙の通信)、SNSなど、さまざまな方法で情報を発信しています。その中でも特に重視しているのが、当社の情報をいちばん多く掲載しているホームページです。

ホームページには、ブログやプレスリリース、施工例を載せています。たとえば施工例は数がとても多く、これまでは更新のたびにスタッフが手作業で写真を掲載してきました。いまはAIを使った仕組みによって、選んだ項目ごとに施工例の写真が自動で表示されるようになりました。毎回の掲載作業や、項目別に並べ替える手間がいらなくなったのは、とても大きな変化です。

ブログも同じです。記事の方向性は当社で決めますが、もとになる写真や情報をしっかり組み立てておけば、記事の作成から配信までを自動化できます。

こうして生まれた時間で、お伝えする内容をじっくり吟味したり、新しい取り組みに力を注いだりできるようになりました。AIを使った仕組みは、情報発信にとってもとても有意義なものになっています。

それでも「最後は人」

AIが得意なのは、整理・下書き・計算です。お庭のご提案や、木の状態の判断、仕上がりの美しさは、これからも資格を持つ人と職人が担います。空いた時間を、お客様との打ち合わせと現場の品質に使う。それが私たちの考える「現場×AI」です。

代表のひと言:主役は「物」ではなく「人」

当社では、スタッフがいない「無人の体験展示場」を設けています。スマートフォンがひとつあれば、1時間ほどの謎解きを楽しみながら、外構・エクステリアとは何かを知っていただけます。最後に謎の答えを応募ボタンから送ると、景品が当たる仕組みです。これもすべて無人で運営しています。

では、人がいない状態がいいのかというと、そうではありません。「気になるから見に来た」「ちょっと体験してみたい」というとき、すぐ横でスタッフが見ていたら、緊張して居づらくなります。コーヒーやお茶を「ご自由にどうぞ」と用意していても、目の前にスタッフがいたら、なかなか手が伸びませんよね。

私たちが本当にお届けしたいのは、外構・エクステリアという「物」ではありません。ご自身のスタイルに合った、豊かな暮らしそのものです。物を比べるだけならカタログで十分です。でも「自分にとって、どんな暮らしができるのか」は、体験してみないとわかりません。

たとえばウッドデッキ。洗濯物を干すためだけなのか、お茶を広げてお友達と景色を眺めたいのか、お子さんの遊び場にしたいのか、お父さんの日曜大工の場所にしたいのか、大人数でバーベキューを楽しみたいのか。何をしたいかによって、必要な大きさはまったく違います。その感覚がないままカタログで選ぶと、「実際に買ってみたらできなかった」ということがよく起こります。そして数年たっても、ほとんど使われない場所になってしまう。

同じお金を払うなら、数年しか使わないものに払うのか、この先何十年も暮らしを豊かにしてくれるものに払うのか。その差は比べものになりません。だからこそ、先に大きさと金額を決めるのではなく、まず体験して「こんな暮らしがしたい」を見つけ、そのために必要な大きさを体で感じていただくことが大切なのです。

プランナーは多くの知識をもとにプランを提案できますが、お客様の好みや考えは、お客様ご自身にしかわかりません。「何をしたいかはよくわからないけれど、デッキが欲しい」。これは、買ったあとに後悔するパターンです。目的がはっきりしないなら、いま無理に買わなくてもいい。まずは実際のデッキに座ってみて、洗濯物を干してみて、自由に過ごしてみてください。目的がはっきりして初めて、本当に良いご提案ができます。

そのために展示場では、デッキの上でコーヒーやお茶を飲んでいただけるようにし、洗濯物干しを体験できる場所もつくりました。雑誌を読みながらソファーでくつろぐこともできますし、夜には照明が灯り、庭がどんな景色になるのかも見ていただけます。

AIで仕事の仕組みがどれだけ変わっても、最後にいちばん大切なのは、ご本人が「どんな暮らしをしたいか」です。主役は物ではなく、人。だからこそ私たちは、AIで生まれた時間を、お客様一人ひとりの暮らしに向き合うために使っていきます。

ご相談・概算見積は無料です

お庭・外構のご相談は、タケゾーファームへ。

創業1984年、樹木医のいる造園・外構会社です。LINEで写真を送っていただくだけでもご相談いただけます。

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