雨がやんで三日たっても木の根元がぬかるんでいるのはなぜ?

ご相談:雨がやんだのに、木の根元だけいつまでもぬかるんでいます

出雲市にお住まいの40代の方から、こんなご相談をいただきました。

「新築から6年目の庭です。ヤマボウシとシマトネリコを植えていますが、この夏の大雨と台風のあと、庭全体は乾いてきたのに、木の根元まわり1メートルくらいだけが3日たってもぬかるんだままでした。歩くとスニーカーが沈みます。木のほうも、去年から葉が小ぶりになって、真夏には葉先が茶色く枯れ込みました。水はけの悪い土なのだろうとは思うのですが、庭のほかの場所はそこまでひどくありません。どうして木の根元だけが水たまりのようになるのでしょうか」

樹木医の回答:水が抜けないのは「土の質」ではなく「土の下」に原因があります

よくある誤解なのですが、根元だけ水が引かない場合、原因は表面の土そのものよりも、その下に何があるかにあることがほとんどです。庭のほかの場所は問題ないのに植えた木の足元だけがぬかるむ、というのは、まさにその典型的なパターンです。

「植え穴プール」――穴そのものが水槽になっている

造成された宅地では、重機で何度も踏み固められた硬い層(締固め層)が地表から30〜50センチほどのところに広がっていることがあります。この層は水をほとんど通しません。そこへ植栽のときに穴を掘り、掘った分だけ柔らかい客土を入れて木を植えると、硬い層に囲まれた柔らかい土のかたまりができます。

雨が降ると、水はまず柔らかい客土に集まります。ところが底も横も硬い層でふさがれているため、抜ける先がありません。結果として、植え穴そのものが地中の水槽のようになってしまう。これを現場では「植え穴がプールになっている」と表現します。周りより一か所だけ水が引かない、という症状はこれで説明がつきます。

大雨のあと水が引かず、地面が水浸しになったままの庭
画像:Kenneth Allen (Wikimedia Commons) / CC BY-SA 2.0

木が出している合図を読み取る

根は水を吸うだけでなく、土の中の空気で呼吸しています。水がたまり続けると根は酸欠になり、細かい根から順に傷んでいきます。次のようなサインが重なるほど、根の周りの過湿を疑ってよいでしょう。

  • 葉が年々小さくなり、枝の伸びが短くなってきた
  • 梅雨明けから真夏にかけて、急に葉先が茶色く枯れ込む
  • 根が深く入れず、地表近くに浮き上がるように張っている
  • 幹の根元付近の樹皮が黒ずむ、じゅくじゅくする
  • 根元にキノコが出る、コケや藻が広がる

特に3つ目と2つ目の組み合わせは要注意です。深く根が張れないまま浅い根だけで生きている木は、雨が続けば酸欠になり、逆に晴天が続けば真っ先に水切れを起こします。過湿の木が夏に「乾いて」枯れるのは、このためです。

30分でできる、自宅での排水テスト

道具はスコップとバケツだけです。木から少し離れた場所に、直径・深さともに30センチほどの穴を掘り、水を満たします。一度水を抜いて土をなじませ、もう一度満水にして水位の下がり方を見てください。

  • 1時間で10センチ以上下がる:排水は良好です
  • 1時間で2〜3センチ程度:やや不良。植える樹種を選ぶ必要があります
  • 半日たってもほとんど減らない:明らかな排水不良。対策が必要です

掘っているときに、あるところから急にスコップが入らなくなったら、その深さが硬い層です。深さも合わせて記録しておくと、対策を考えるときの手がかりになります。

では、どう手を打てばよいか

やってはいけないこと

いちばん多い失敗が、ぬかるむからといって上から土や砂を盛ることです。根元に土を盛ると、幹の付け根が常に湿った状態に置かれ、かえって傷みが早まります。水は下に抜けないままですから、問題の解決にもなりません。もうひとつは、ぬかるんだ地面を踏むこと。濡れた土は踏むほど締まり、すき間がつぶれて、さらに水を通さなくなります。

硬い層に「抜け道」をつくる

小規模な庭で効果が出やすいのは、枝先の真下あたりに縦穴を掘り、硬い層を突き抜けて水の逃げ道をつくる方法です。深さ50〜60センチほどの穴を数か所あけ、軽石や砕石を詰めておくと、たまった水が下の層へ抜けていきます。あわせて、根元から少し離した範囲にバークチップなどを5センチほど敷いておくと、土の乾湿の差がやわらぎ、土の中の生き物が働いて土のすき間が回復していきます。

庭全体が粘土質で水がにげる先がない場合は、暗渠排水管を伏せて低い場所や側溝へ導く工事や、地面を10〜20センチ高くしたレイズドベッド(花壇状の盛り土)に植え直す方法が確実です。水を抜けない土地では、木のほうを水面より上げてやる、という考え方になります。

植え替え・移植を考えるなら、これからの季節が好機です

すでに木が弱っている場合、水のたまらない場所へ移すのも選択肢です。落葉樹は葉を落として休みに入る秋から冬が、根を動かしても負担が少ない時期にあたります。ただし、幹が太くなった木をいきなり掘り上げると失敗しやすいため、半年から1年前に根の一部を切って細い根を出させておく「根回し」という下準備を行うのが本来の手順です。山陰は秋の長雨と台風で土がゆるむ時期でもありますので、作業の可否は現地の状態を見て判断します。

まとめ

根元だけ水が引かないのは、土が悪いというより、木の足元が地中で行き止まりになっているサインです。まずは穴を掘って水を入れる簡単なテストで、どの深さで水が止まっているかを確かめてみてください。原因の深さが分かれば、縦穴で抜くのか、排水管を伏せるのか、高く植え直すのか、打つべき手はおのずと決まってきます。

Takezo Farmでは、出雲市・松江市・米子市を中心に、庭木の診断から土壌改良、排水工事、移植までを一貫してお引き受けしています。「植えた木がどうも育たない」「雨のあと庭に水がたまる」といったお困りごとがありましたら、木を切ってしまう前に、まずは足元の土のことからご相談ください。