台風シーズン、植えたばかりの庭木はどう守ればいいですか?

8月も後半になると、山陰地方でもニュースで台風の進路が話題にのぼる時期になります。庭木の台風対策というと「太い枝を切って小さくする」イメージを持たれる方が多いのですが、実は植えてまだ数年の若い庭木にとって本当に大切なのは、剪定よりも「支柱」です。今回は、松江市にお住まいの方からいただいたご相談をもとに、台風前に確認しておきたいポイントを解説します。

ご相談:植えて2年目のシンボルツリー、台風のたびに大きく揺れます

松江市に住んでいます。2年前に新築した際、庭のシンボルツリーとしてシマトネリコを植えました。まだ幹の太さは小指ほどで、支柱は特につけていません。先日のニュースで台風が接近していると知り、去年も強風で幹ごと大きく揺れていたのを思い出して心配になりました。台風が来る前に何かできることはありますか。

樹木医の回答

ご相談ありがとうございます。結論からお伝えすると、植えて数年以内の庭木は「支柱を立てる」「枝を軽く透かす」という2つの備えだけで、倒木や幹折れのリスクをかなり減らすことができます。順番に説明します。

木の周りに3本の杭を組んでベルトで固定した支柱の様子
画像:Fructibus (Wikimedia Commons) / CC0 1.0

なぜ植えたばかりの木は倒れやすいのか

庭木は植え付けてから数年間、根がまだ周囲の土に十分張っていません。特に鉢植えの状態で育てられた苗木は、根が鉢の中で丸まった「根鉢」のまま植えられていることが多く、地中にしっかり根を張るまでには3〜5年ほどかかります。この間は、幹がある程度太くても、地面の下ではまだ踏ん張りが利かない状態です。強い風で幹ごと大きく揺さぶられると、根鉢と周囲の土の間にすき間ができ、そこに雨水が入り込んで根腐れを起こしたり、最悪の場合は倒木してしまったりします。シマトネリコのように葉が茂りやすい常緑樹は、風を受ける面積(受風面積)が大きいため、特に注意が必要です。

台風前にできること①支柱を立てる

一番手軽で効果的なのが支柱です。今回のように支柱がまだない場合は、3本の杭を斜めに打ち込んで幹を三方から支える「八ツ掛け支柱」がおすすめです。ポイントは次の3つです。

  • 杭は幹から30〜40cmほど離し、風上側にも杭が来るように配置する
  • 幹に杭を固定する際は、幹に杉皮や麻布を巻いてから麻ひもや専用バンドで結ぶ(直接縛ると幹が傷つき、そこから病気が入ることがあります)
  • きつく締めすぎず、多少揺れる程度の「あそび」を残す(完全に固定すると、強風のときに杭ごと根元を傷めることがあります)

すでに支柱がある場合も油断は禁物です。ひもが緩んでいないか、杭が土の中でぐらついていないかを、台風が来る数日前に必ず点検しておきましょう。なお、支柱は一度立てたらずっとそのままでよいわけではありません。根がしっかり張れば木自身の力で立てるようになるので、目安として植え付けから2〜3年ほど経ち、幹を軽く揺すってもぐらつかなくなった段階で、少しずつ外す方向で考えて問題ありません。支柱を長く付けたままにすると、逆に木が自力で踏ん張る力を育てにくくなることもあります。

台風前にできること②枝を「透かす」剪定

真夏の本格的な剪定は木への負担が大きいため基本的には避けたい時期ですが、台風前の応急対応として、込み合った枝を間引いて風の通り道を作る「枝すかし」程度であれば問題ありません。特に枝先が茂りすぎている部分や、内側に向かって伸びている枝、他の枝と交差している枝を中心に、全体の1〜2割程度を目安に軽く整理する程度にとどめましょう。強い切り戻し剪定や太い枝を落とすような剪定は、切り口から水分が奪われて木が弱る原因になるため、台風対策として無理に行わず、涼しくなる10月以降に改めて行うことをおすすめします。

台風が過ぎたあとに確認すること

台風が過ぎたら、まず幹が大きく傾いていないか、支柱が緩んでいないかを確認してください。山陰地方は日本海に近く、海からの強風によって潮を含んだ雨や風(潮風)が内陸まで届くことがあり、これが葉に付着すると葉が茶色く傷む「潮害」につながる場合があります。海に近い地域にお住まいの場合は、台風の翌日以降に葉や枝へ真水をたっぷりかけて塩分を洗い流しておくと、傷みを最小限に抑えられます。

まとめ

植えて数年以内の庭木は、支柱と軽い枝すかしという2つの備えで、台風による倒木や枝折れのリスクを大きく減らすことができます。松江市をはじめ島根県・鳥取県の山陰地方は、8月末から9月にかけて台風の影響を受けやすい地域です。「うちの庭木は台風前に何をすればいいだろう」と不安に思われたときは、Takezo Farmまでお気軽にご相談ください。支柱の設置から台風前後の剪定まで、山陰の気候を熟知したスタッフが対応いたします。