2階の窓を越えたシマトネリコ、この夏のうちにバッサリ切っても大丈夫?

ご相談:家を建てたときのシマトネリコが、2階の窓を越えてしまいました

鳥取県米子市にお住まいの方から、こんなご相談をいただきました。

「新築のときにシンボルツリーとして植えたシマトネリコが、8年ほどで2階の窓を越える高さになりました。株立ちで幹が何本もあり、枝は隣の敷地へも伸びています。葉が茂って家の中が暗いほどです。ちょうど花が終わったので、この夏のうちにバッサリ切ってしまいたいのですが、真夏に切ると木が弱ると聞いて手が止まっています。今切ってもよいのでしょうか」

樹木医の回答:切る量で判断が変わります。「今できる剪定」と「来春の剪定」を分けましょう

結論から申し上げます。8月下旬の今おすすめできるのは、混み合った枝を間引く「透かし剪定」までです。幹を短く詰めるような強い剪定は、来年の3〜4月まで待ってください。

シマトネリコの剪定適期は、一般に3〜4月と、花の終わった8〜9月とされています。ただしこの二つは「同じ剪定をしてよい時期」ではありません。前者は木が動き出す前で回復力が高く、大きく切り戻す強剪定に耐えられる時期。後者は樹形を軽く整える時期です。高さそのものを下げたい今回のご相談は、前者にあたります。

株立ちに育ったシマトネリコの樹形と細かい葉
画像:あじさか (Wikimedia Commons) / CC BY-SA 4.0

なぜシマトネリコはこんなに大きくなるのですか?

シマトネリコは沖縄や台湾、中国南部、フィリピンなど、熱帯から亜熱帯にかけて分布するモクセイ科の樹木です。自生地では樹高5〜20mにもなる、れっきとした高木です。

つまり、私たちが庭で見ている細い株立ちの姿は、木にとってはまだ「子どもの姿」なのです。日当たりと水がある環境では成長が非常に早く、放っておけば毎年ぐんと背を伸ばします。「思ったより大きくなった」というご相談が多いのは、木の性質としてはごく自然なことなのです。

もう一点、シマトネリコは雌雄異株です。雌木には花のあとに翼のついた種がつき、こぼれた種が庭のあちこちで発芽します。「植えた覚えのない小さなシマトネリコが増えている」という場合はこの実生で、小さいうちに抜いておくのがいちばん楽です。

真夏の強剪定を避けたい理由

切り口が乾いて、枝が枯れ込みやすい

気温の高い時期は、木の中の水分が葉から盛んに逃げていきます。この時期に太い枝を切ると切り口から水分が抜け、そこから下へ枝が枯れ込みます。切り口が黒く変色したまま芽を吹かない、という失敗はここで起きます。

幹が日焼けを起こす

葉を一気に落とすと、これまで葉陰に守られていた幹に直射日光が当たります。樹皮が焼けて裂けたり、そこが弱ってカミキリムシなどの侵入口になったりします。木にとっては、葉は光合成の器官であると同時に、幹の日よけでもあるのです。

切ったあとに徒長枝が暴れる

夏に強く切ると、木はあわてて勢いの強い枝を何本も立ち上げます。翌年、切る前より野暮ったい姿になってしまい、また切る、という悪循環に入りがちです。

では、この8月下旬に何をすればよいですか?

高さを下げるのは来春に回すとして、今の暗さや隣地へのはみ出しは、次の範囲であれば今日からでも対応できます。

  • 株立ちの内側で交差している枝、枯れ枝、下向きの枝を根元から抜く(透かし剪定)
  • 隣地や道路にはみ出した枝を、枝分かれしている位置まで戻して切る
  • 幹の根元から出ている細いひこばえを整理する
  • 花のあとに残った種のかたまりを、手の届く範囲で落としておく

全体の葉の量の2〜3割程度を目安にとどめてください。中に風が通るだけでも、家の中の暗さやムシムシした感じはかなり変わります。台風が近づく季節でもありますので、風を受け流す意味でも枝抜きは有効です。

来春、高さを本気で抑えるなら「芯止め」を

3〜4月に行いたいのが芯止めです。伸びていく主幹の先端を、目標としたい高さの少し下で切る剪定で、上へ伸びる勢いをそこで区切ることができます。株立ちの場合は、いちばん高い幹から順に、高さをずらしながら止めていくと自然な姿に仕上がります。

幹がどれも太くなって窮屈な株立ちなら、1〜2本を根元から抜く「株の間引き」も選択肢です。残す幹に力が集まり、風通しも見た目もすっきりします。

高さを一度下げたあとは、数年に一度、同じ位置で止め直していきます。「毎年少しずつ」より「数年に一度きちんと」のほうが、木にも人にも負担の少ない管理です。

山陰の庭で、シマトネリコの冬はどう見ればよいですか?

シマトネリコは常緑樹に分類されますが、寒さに当たると葉が茶色くなったり落ちたりする半常緑的な性質があります。目安として氷点下5℃を下回るような環境は苦手です。

米子市や松江市の平野部であれば、通常の冬は越せることがほとんどですが、寒波と季節風が重なった年には葉が傷むことがあります。春に新芽が動き出せば問題ありません。冬に葉が落ちても、あわてて切らないでください。枯れているかどうかは、春の芽吹きを見てから判断するのが確実です。冬のあいだに剪定してしまうと、寒さで傷んだ枝がさらに枯れ込みます。

まとめ

  • 8月下旬にできるのは、枝を間引く透かし剪定まで
  • 高さを下げる強剪定・芯止めは、来年の3〜4月に行う
  • 真夏の強剪定は、枝の枯れ込み・幹の日焼け・徒長枝を招きやすい
  • 冬に葉が落ちても、春の芽吹きを確認してから判断する

シマトネリコは、本来20mにもなる木を庭のサイズに付き合わせている樹種です。だからこそ、切る時期と量の見極めが樹形の美しさに直結します。Takezo Farmでは、出雲市・松江市・米子市をはじめとする山陰エリアで、庭木の剪定から樹木の健康診断、植栽計画までご相談を承っております。「高くなりすぎて自分では手が出せない」「隣家との境界の枝をどうにかしたい」といったお悩みも、現地を拝見したうえでいちばん負担の少ない方法をご提案します。お庭の木のことで気になることがありましたら、どうぞお気軽にお声かけください。